COLORZ１

COLORZの誕生秘話（仮）

桜も散り終わり花粉症の人にはキツイ春の某日、特にやることもなく俺は街をブラブラしていた。


「あーあ、どっかに俺と同じような音楽趣味で本気でバンドやりたい！言うヤツおらんかなぁ…」

物凄くギリギリで入った高校を中退してバンドに明け暮れていたはいいけどバンドのメンバーは俺と音楽趣向がちゃうやつばっか。
やってられんわ、思ってバンドを抜けたはいいけどこれからどうしようか。
バイトの予定増やす？でもやっぱりバンドはやってたい、多分これが俺の生き甲斐やから。


「……そう言えば近くの高校で文化祭があるんやっけ」

ふ、とツレが行ってたことを思いだしてみた。
確かこの直ぐ近くで「そこの軽音部、お前と合いそうな趣味のやつがいるらしいよ」とそいつが言っていたような気がする、時間もあるしここから近いし暇潰しがてら行ってみようと思った。







＊

「うっわすご…」

その学校の文化祭はうちの文化祭とは全然比にならない程盛り上がっていた。
どうやら今からその噂の軽音楽部のライヴが始まるらしく、女の子達が黄色い声を上げて彼らの出番を今か今かと待ちわびていた。

「高校の文化祭の軽音楽部のライヴでこんなん盛り上がるもんなんか…？」

疑問に思った俺は近くにいたこの学校の生徒と思わしき男子に声を掛けた。こういうとき人見知りをしない性格って役に立つな…


「なぁ、ここの軽音楽部ってそんなに凄いんか？」
「え？あぁ軽音楽部っていうかギターで凄いヤツがいるんだよ！他のメンバーは普通だけどそいつだけすげーレベルが違うんだ、ルックスも良くてよく女の子に囲まれてるよ」


へぇ…高校でそんなに差があるもんなんやなぁ…
そんなに凄いギタリストなら見てみたいと思った、それでそのギタリストがツレの言ってた「趣味が合いそうなヤツ」だとするんなら尚更。


空いてる席に腰を掛けた数分後、ステージにライトが照らされ5人の男子生徒がステージへと立った。
女の子達の声と共に切なげなメロディが流れ始める。


「あいつ、か」

ステージの右で楽しそうでもなく、周りの客なんか全く気にしてないようにただギターを弾いてる紫髪の男子が目に入った。
一目で分かる、あいつだ。明らかに他のやつらとはレベルが違う。
本当にギターが好きなんやな、って初めて見た俺でも分かるくらい。

ライヴは2曲やって終了、そんで同時に俺は思った。あいつとバンドを組みたい、って。
やから俺は終わって横の階段からギターを抱えて気怠そうに下りてくるそいつに走っていった。


「なぁ自分ギタリストやんな、俺とバンドしようや！」