COLORZ２

ヒナタと焔の出会い

「なぁ自分ギタリストやんな、俺とバンドしようや！」

かったるい文化祭のライヴも終わってさっさと帰ろう、とステージ脇の階段から下りているといきなり知らない声に声を掛けられた。
振り向いてみるとオレンジ頭のなんか派手なヤツ。
ついでに言うと勿論俺の知り合いなんかじゃない、でもコイツが話し掛けてるのは明らかに俺で…

「……なにアンタ」
「俺？俺は焔っつーんや、今バンドのメンバー探しよんやけど兄さん俺と一緒にバンドせんか？」
「…どうでもいいから取り敢えず俺ここから立ち去りたいんだけど…」
「え？どういう…」
「あ、ヒナタくーん！今日のライヴも格好良かったよ！」
「あたしヒナタ君だけ凄く輝いて見えちゃった！」
「……どーも」

あー逃げられなかった。
どうやら俺は自分で言うのもアレだけどモテるらしい。っていっても俺はそういうの全く興味なんて無いけど。
取り敢えずこっから逃げたい、こういう女の相手するの嫌いだし。

「……兄さんめっちゃモテモテやん、羨ましいで」
「うるさいよ。……俺ちょっとこのお兄さんと話あるからまたね」
「え、ちょっとヒナタ君！？」

そう言ってオレンジ頭の腕を引いて走った。
あんな所に何分もいたら疲れる、っていうか下手に言い寄られてギターに傷が入っても困るし。



「で、バンドだって？」

学校の外に出て取り敢えず喫茶店に入って話を切り出す。

「せや！やらん？俺バンドのメンバー探しとんやけどなかなか俺と趣向の合うヤツがおらんで困っとんよ。
　兄さんなんか俺と趣味合いそうやし！」


因みに俺ボーカル！と笑いながら話すオレンジ頭。
まぁ確かに俺はギターが好きだしギターで食っていきたいって思ってる。
その為には軽音楽部なんかで落ち着いちゃ駄目なのも分かってる、あいつらヘタクソだし。
それに学校なんていう小さい括りでギターやってても進歩もないだろう、コイツがどんなボーカリストなのかは全然分からないけどコイツとやる方が近道だとなんとなく思った。


「オレンジ頭は本気でバンドやりたいんでしょ？」
「当たり前やん！じゃなかったら高校中退してまでせんって！ちゅーかオレンジ頭って…俺焔って名乗ったやん！」
「そう言えば名乗られたような気もするね。じゃあ別にいいよ、やっても。俺も本気でギターやりたいから」
「ほんまに！？よっしゃギタリストゲットや！…ヒナタ、やっけ？よろしくな！」
「うん、よろしく」

取り敢えずこれでギターに触れられる時間が増えたことは確か、だよね。


「で、後メンバーって何人いるの？」
「え？まだ俺とお前の二人だけやけど？」
「……………はぁ！？」


着いていこうと思ったヤツを間違えたかもしれない。